今日はもう春のお彼岸。

大阪城の梅も終わって、京都では気の早い桜がほころび始めています。

このブログも年末に書いたキリで、ずっとサボっていました。


机の上に『坂の上の雲』(司馬遼太郎)全8冊が積んであります。

NHKでドラマ化されているので、ご存知の方も多いと思いますが、
この作品は、

 日本騎兵を育成し、中国大陸でロシアの騎兵と死闘をくりひろげた秋山好古
 東郷平八郎の参謀として作戦を立案し、日本海海戦でバルチック艦隊を破った秋山真之
 病床で筆をとり続け、近代俳諧の基礎を築いた正岡子規

近代国家の仲間入りをしたばかりの明治日本を背景に、この3人の生涯を描いた3059ページに及ぶ膨大な歴史小説です。


いつかは読んでみたいと思っていたこの大作。。。
思い切って正月明けから挑戦したのですが、ちょうど確定申告の繁忙期と重なり、遅々として進まず。
疲れた通勤電車の中などわずかな時間に読み進み、2ヶ月以上かかってようやく読破しました。

司馬作品は昔から好きなのですが、この作品は他の歴史モノと違って時代が近いだけに、「もし自分だったら。。。」と、登場人物に自分を重ねてしまうことがよくありました。

それにしても、このわずか100年ほどの間に、日本も日本人の心も大きく変わってしまったと思わざるをえません。

印象に残るシーンや言葉は多々ありますが、あえて1つだけ。


日本海海戦で劇的な勝利を収めた東郷平八郎が、捕虜となった敵将ロジェストウェンスキーに言葉をかける場面。

東郷はひくい声で語りかけた。
  「われら武人はもとより祖国のために生命を賭けますが、私怨などあるべきはずがありませぬ。
  ねがわくは十二分にご療養くだされ、一日もはやくご快癒くださることを祈ります。
  なにかご希望のことがございましたらご遠慮なく申し出られよ。
  できる限りのご便宜をはかります」

(ロジェストウェンスキー)は目に涙をにじませ、
  「私は閣下のごとき人に敗れたことで、わずかにみずからを慰めます」


ぜひ、ご一読をお奨めします。