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修繕費の判定に注意


・建設当初はピカピカだった自慢の自社ビルも、年月の経過とともに老朽化し、機械設備に不具合が生じたりするものです。こうした建物や機械設備など、固定資産の維持管理や原状回復のために充てた費用は“修繕費”として損金算入することが認められています。そのため、多額の利益を計上した会社が、決算前に自社ビル内の修理を施すことで修繕費を計上するケースは珍しくありません。

・しかし、やみくもに修理を行うことで逆効果になってしまうこともあるので気を付けましょう。「固定資産の使用可能期間を延長させたり、価値を増加させたりする修理、改良」のために要した費用は、修繕費とならず、“資本的支出”として通常の減価償却処理を行うことになるためです。なお、資本的支出に該当する修理、改良として、自社ビルの修繕に併せて「非常階段などを新たに取り付けた場合」や、機械設備の修理に併せて「機械の部品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合」などがあります。

・ところで、今年の夏は、全国各地で床上浸水、土砂崩れなどによる被害が相次ぎました。こうした水害を含む自然災害などにより固定資産が被害を受けた場合、修繕費として認められる費用は
①被災資産の原状回復費用
②被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水・土砂崩れなどの防止費用
③修繕費なのか、資本的支出なのかが明らかでない費用のうち、法人がその金額の30%相当額を修繕費としたもの(残りの金額を資本的支出として計上することが必要)――などです。
・水害防止のために貯水池など特別な施設を設置したりする場合は、新たな資産の取得に当たり、修繕費として処理することはできません。

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給与所得控除の適用上限が収入2000万円で調整進む


・来年度税制改正作業は、昨年より早くスタートしましたが、民主党代表選のあおりを受けて、実質審議は事実上ストップしています。

・そんな中で、注目を集めているのが、今年度から廃止された「特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度」に代わる給与所得控除を含めた所得税のあり方です。給与所得控除の適用上限を一定額で打ち切る方向で調整が進んでいるようで、現状2000万円というのが有力ラインとされています。

・経済産業省での税制改正ヒヤリングにおいて、日税連は
 一定額以上の高額な給与収入については、給与所得控除額に限度額を定めるべきである。
 給与所得者に対する課税については、年末調整と確定申告との選択制とすべきである。
 特定支出控除を拡充し、給与所得者が確定申告を行う機会を増やすべきである。

として、給与所得控除の限度額設定を要望しました。

・現在の給与所得控除額には上限がなく、比例的に認められています。しかし、一定額以上の高額な給与収入の場合、限界的に増加した部分の収入について経費が比例的に増加するともいえず、実態を反映しているとは考えられません。給与所得者は自ら申告を行う機会が少ないため、給与所得控除の存在や所得計算の構造を知らず、納税者としての意識が必ずしも高くないのが実情です。

・また、給与所得控除額に限度額を設けることによって、給与所得控除の金額がより実態に即した内容となります。給与所得者が年末調整と確定申告を選択できるような環境を整備することにより、勤務給与所得者の納税者意識の向上に資することができ、個人のプライバシー保護を図ることにもつながります。

・いっぽう政府税制調査会においても、特定支出控除の拡充の方向を検討しており、各業界に「給与所得者の必要経費にはどのようなものがあるのか、挙げて欲しい」と呼びかけています。『給与所得控除の上限設定』『特定支出控除の拡大』の2点が、来年度改正の注目点といえるでしょう。