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相続税法改正の方向性


政府税調の相続税法改正議論の論点
 政府税調のホームページによると、相続税・贈与税の改正につき次の論点があげられています。
 ①相続税基礎控除を60%カットする
 ②10億円超につき最高税率を60%にする
 ③退職金・保険金の500万円非課税枠廃止
 ④贈与税の基礎控除のアップ
 ⑤遺産税体系への切り替え

昭和50年代の相続税
 昭和50年代から60年代初めにおいては、<2000万円+400万円×相続人数>が相続税の基礎控除でした。それがバブルの到来とともに昭和63年に一気に2倍になり、その6年後2.5倍になり現在に至っています。
 説明資料では「地価が昭和50年代の水準に下落しているのに、基礎控除が高いまま据え置かれていることは不合理であり、50年代水準に戻すべき」とされています。

最高税率と500万円非課税枠
 相続税の最高税率は現在50%ですが、過去には75%の時代がありました。昭和63年以降数次にわたり、最高税率の引下げを含む累進構造の緩和が行われてきており「相続税の資産再分配機能が低下している」とコメントされています。
 会計検査院の「平成18年度決算検査報告」を引用して、「高所得者も死亡保険金の非課税措置の適用を受けており、節税目的と思慮されるものも見受けられる」として、退職金・保険金の500万円非課税枠廃止の方向を明らかにしています。

相続税重課と贈与税軽課
 高齢化社会に伴い、相続の発生が長期に繰り延べられていることを踏まえ、現役世代への生前贈与促進による消費の振興は従来からの政策でした。
 相続税の重課と贈与税の軽課は消費促進的であるとの立場が今年は一層鮮明で、贈与税の軽課策としての基礎控除のアップと相続時精算課税の孫への適用拡大が提案されています。

民主党は遺産税体系
 現行相続税が、遺産税と遺産取得税の折衷方式であるところ、民主党は遺産税体系に体系変更することを打ち出していました。
 最高裁判決で所得税との二重課税が禁止されたことを考慮すると、アメリカ的遺産税方式の方が清算的課税をしやすいので、その傾向が強くなっている印象を受けます。

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不況対策で「減資」 無償と有償の利点


・長引く不況を乗り越えるため、事業規模を縮小するなどして経営の建て直しを図る会社は少なくありません。こうした際に、過剰となった資本への処理策として「減資」を行うケースもあります。

減資とは会社の資本金を減らすことをいいますが、その減資には会社財産を返還せずに帳簿上だけで行う「無償減資」と、会社財産を株主に返還する「有償減資」とがあります。

無償減資のメリットは、欠損金の補てんや、資本金を1億円超から以下にすることで外形標準課税の適用外にできることなどです
・会計上は欠損金を減らしただけ資本金も減るため、貸借対照表がすっきりとした状態になります。ただし、税務上は金銭の交付を伴わない欠損金の減少は資本全体の減少とはならず、資本金を減らした分は資本積立金を増加させなければいけないので注意しましょう。地方税の均等割の課税標準は資本金+資本積立金なので、地方税の税額に変化は出ません
・一方、外形標準課税は資本金のみが算出の対象となるため、資本金の減少により1億円以下になれば外形標準課税から逃れられます

有償減資のメリットは会社規模を適切なサイズにできる、また将来の配当金を減らせる――などです。
・株式の払い戻し額が資本の減少額を超えた場合には減資差損が、逆に払い戻し額が資本の減少額より少ない場合には減資差益が生じます。
・この減資差損については税務上、 「資本等取引」として扱われ、損金には算入されません。さらに、減資差益については、法人税法上で「資本積立金」と見なされ、やはり「資本等取引」として取り扱われるため、益金にも算入されません。