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生命保険金の非課税枠縮小


生命保険金の非課税限度額の計算をめぐって、「生計を一にしていた者」の範囲に関心が寄せられています。

・生命保険金の非課税限度額とは、死亡保険金を相続した場合に相続税の計算上控除できる「500万円×法定相続人数」という非課税枠のこと。死亡保険金は本来、その受取人固有の財産ですが、税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

・平成23年度税制改正では、この非課税限度額計算における法定相続人の範囲が「障害者」「未成年者」「相続発生直前に被相続人と生計を一にしていた者」に限定されることになりました。たとえば、夫婦と子ども2人の4人家族で、夫の死亡によって妻が1500万円の死亡保険金を受け取った場合、これまでの制度では保険金の非課税枠は1500万円(=500万円×法定相続人3人)となるため相続税はかかりませんでした。

・しかし、子ども2人が独立していて上記の要件に当てはまらない場合は、今回の改正で保険金の非課税枠は500万円(=500万円×法定相続人1人)となり、これを超える1000万円が課税対象となります。そこで、上記3要件のうち「生計を一にしていた者」の範囲に強い関心が寄せられているわけです。

・一般的には一つ屋根の下で生活をともにしているかどうかが判断基準となりますが、必ずしも扶養を伴うものではなく、必ずしも同居していなければならないというものでもありません。一般的には「実際の住居の状態や生活費の負担状況、生活スタイルなどを総合的に見て個別に判断する」(税務署)とのこと。相続発生直前にあわてて同居するケースも増えそうですが、不動産登記や光熱費等の負担状況、居住空間の共有度も含め、「実態」の立証要素の整備には細心の注意が必要です。