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「歳入庁」構想


・税と社会保険料を一体的に徴収する「歳入庁」構想がにわかに注目を集めはじめています。

・岡田副総理が政府内に検討チームを設置し、4月中に中間報告を公表する方針を示し、民主党内でも専門の作業部会がスタートしました。橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」も政策集「維新八策」に歳入庁構想を盛り込む方針で、与野党を超えた動きが広がっています。

・民主党は2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)で、社会保険庁を解体して国税庁と統合する「歳入庁」創設を明記。昨年の「社会保障と税の一体改革」議論でも民主党内の一部が「公約実現」を強く求め、素案段階に「ただちに本格的な作業に着手する」と明記させた経緯があります。

・政府・民主党内の検討着手はこの素案を踏まえた動きですが、どこまで本気なのでしょうか。岡田副総理は「歳入庁を設けるかどうかも検討課題だ」と弱腰で、古川国家戦略相も「給付付き税額控除や総合合算制度などの仕組みは歳入庁がなくても機能する」と、歳入庁がなくても一体改革に支障はないと予防線を張り始めています。

・歳入庁の創設に向けたハードルが高く「どうせ実現できない」との見方が大勢を占めていることから、政府の身が入らないともされています。

・社会保険庁の徴収部門は日本年金機構として既に分離済みで、歳入庁を政府部内に置くには機構職員を公務員に戻す必要があります。また、統合対象とされる国税庁内には「徴収力で劣る年金機構の職員に、国税と同水準の業務を任せられるのか」という機構不信も根強いようです。

・無理に統合を強行すれば、政府の根幹を成す徴収部門が大混乱する恐れもあります。