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年末調整の準備はお早めに


・今年も年末調整の時期となりました。

・年末調整は、従業員一人ひとりについて、毎月の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収した税額と、その年の給与総額について納めなければならない税額とを比べて、その過不足額を精算する手続きで、給与の源泉徴収の総決算というべきものです。

・年末調整の基本的仕組みは昨年と同じですが、定率減税が19年分の所得税から全廃され、今年の年末調整においては適用がありません。また、所得税から住民税への税源移譲に伴い、19年分の所得税から税率構造が5%~40%の6段階へと変更になったため、年末調整の際に使用する所得税額の速算表も昨年分とは異なるので注意が必要です。ほかでは、損害保険料控除が改組され、地震保険料控除(最高5万円)が創設されています。

・年末調整を行うためには事前準備が必要で、特に、扶養控除等申告書や配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書などの書類は早めに揃えてもらうように、従業員にPRしておくことが大切です。

・年末調整における主なポイントは、1)年末調整の対象となる人・対象外の人の選別、2)上記申告書の提出及び記載内容の確認、3)家族の所得金額を確認させる、などです

参考URL:「平成19年分「年末調整のしかた」(国税庁)」

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税制調査会の今年度答申


政府税制調査会(首相の諮問機関:香西泰会長)が「抜本的税制改革に向けた基本的な考え方」と題した答申を公表しました。

消費税率の引き上げ、所得税の最高税率の見直し、配偶者特別控除など各種控除制度の見直しなどについて触れていることから、概ね「増税色の強い答申」と報道されているようです。

・しかし、冒頭に「平成20年度以降どのようなタイミングで実施に移していくかについては、今後、政府において適切に判断されることを求めたい」とある通り、各税目の見直し時期についてはほとんど触れられていません。さらに、その規模や範囲について明言されている部分も見当たりませんし、意見の集約のみとなっている部分も見受けられます。

・同答申については、そもそもの政府税制調査会の役割である「中長期における税制の方向性を示す」ものと捉えておいた方がよいのかもしれません。

・なお、消費税については、「持続可能な社会保障制度を支える」中核を担うものとして位置づけられており、社会保障費の増大に対応するために、消費税の社会保障財源としての位置づけを明確にするとともに、消費税率を引き上げていく姿勢を明らかにすべきとされています。税率引き上げの時期や規模については触れられていませんが、食料品などに対する軽減税率については「効果が乏しい」と否定。また、インボイス方式への移行免税点制度、簡易課税制度の見直しなど、より透明性の高い税制への転換を図るべきと提言されています。

・個人所得課税については、累次の累進緩和の結果、我が国の税率構造が主要国に比べて特異の構造となっていると指摘。税率とその適用範囲、最高税率についての見直しの方向を打ち出しています。さらに、配偶者控除等、扶養者控除、給与所得控除、公的年金等控除などの控除制度についても、「ライフスタイルや働き方の多様化」に対応した制度に見直していく必要性を論じています。

参考URL:「抜本的税制改革に向けた基本的な考え方」

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消費税の増税論議


・安倍内閣では封印されていた消費税増税議論が、このところ盛んになっています。

・朝日新聞が11月3日、4日で実施した全国世論調査では、消費税の増税について「必要だ」と答えた人が43%、「必要はない」と答えた人が49%と意見が分かれました。また、経団連など経済団体の多くでは消費税増税に賛同の意を示していますが、日本商工会議所の山口信夫会頭が退任前の会見で「安易に増税に頼る考え方はすべきでない」と釘を刺したように、早期の消費税増税に否定的な意見もあります。

政府税制調査委員会(首相の諮問機関:香西泰会長)が11月20日頃にまとめる答申には、消費税率引き上げが盛り込まれるようです。「年金など社会保障制度の維持のために消費税の増税が避けられない」というのがその理由ですが、具体的な税率や増税時期は明示しない方針です。もともと政府税制調査委員会は中期的な税制のあり方を論ずる機関という色合いが強いこともあって、今後の具体的な消費税議論に配慮した形になっています。

・また、自民党の財政改革研究会(与謝野馨会長)が21日にまとめる中間報告にも、消費税率の引き上げが盛り込まれるようです。政府税制調査委員会よりも一歩踏み込んだ内容になるようで、消費税を「社会福祉目的税」化し、2015年ごろまでに消費税率を10%に引き上げるというのが骨子と伝えられています。ただ、こちらの中間報告も来年度税制改正での取り扱いについては触れられない模様で、今後の自民党税制調査会などでの議論に委ねるようです。

・一方、与党の一翼を担う公明党税制調査会の井上義久氏は、基礎年金国庫負担引き上げに伴う2.5兆円の財源について、「まず消費税増税ありきの議論」に対して異議を唱えています。平成18年から平成19年にかけて行われた定率減税廃止分1.7兆円を同財源に充てる考えで、不足する0.8兆円について消費税増税も含めて議論すべきという考えのようです。

・このような中で、福田首相と自民党の伊吹幹事長が11月4日、揃って来年度の消費税増税に否定的なコメントをしました。福田首相は全国知事会の席上で、消費税の増税について「短絡的すぎる」とした上で、「来年1年間はやり繰り算段できないかを思案中」と発言。また、伊吹幹事長は日本記者クラブの会見で、自民党として「来年度は消費税を上げないつもり」であることを明らかにしています。

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Posted by: murakami

平成19年度個人決算の留意点


・国税庁が「平成19年分の決算にあたり留意すべき事項について」という情報を公開しました。これは、個人の決算(12月31日)にあたって、平成19年度税制改正で改正された減価償却制度、繰延資産の範囲、特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例について、留意すべきポイントをまとめたものです。

・特に抜本的に見直された減価償却制度については、決算・申告作業が複雑化することが予想されます。決算までにはまだ時間がありますが、事前の確認をしておいた方が良いかもしれません。

減価償却制度
・平成19年4月1日以降に取得した減価償却資産について、「残存価額(10%)」及び「償却可能限度額(5%)」が廃止されることとなり、未償却残高が1円(備忘価額)になるまで償却できるようになりました。
・また、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産についても、未償却残高が5%に達した年分の翌年分以後5年間で1円まで均等償却できることとされました。これに伴い、償却費の計算(定率法、定額法等)で利用する償却率が変更されるとともに、従来の定率法、定額法が旧定率法、旧定額法と改定されています。
・情報では、それぞれの償却方法について計算式を明らかにした上で、各種計算例なども掲載されています。

・そのほか、「決算書・収支内訳書(減価償却費の計算欄)の書き方」をはじめ、「償却の方法を変更した場合の償却費の計算方法」「資本的支出をした場合」「償却の方法の選定・変更」「定額法と定率法の償却方法判定フロー」などの実務情報も掲載されています。

繰延資産の範囲
・繰延資産の範囲から試験研究費が除外されるとともに、開発費から新たな事業の開始のために特別に支出する費用が除外され、この両費用については支出した年分の必要経費に算入できるようになりました。
・ただし、平成19年4月1日以前に支出した費用については、従前どおり繰延資産として扱うことになります。

特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例
・特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例における不動産所得の損失額の計算等の対象に、特定受益者に係る信託が加えられています。

参考URL:平成19年分の決算にあたり留意すべき事項について

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亡くなった人の預金を下ろすには


・亡くなった人の財産は、その後遺産分割の手続きを経て相続人等のものになります。しかし、遺産分割の手続きが終わるまでにはある程度の時間がかかります。では、その期間内に亡くなった人の預金を引き下ろさなければならないような場合にはどうしたらよいのでしょうか?

・法律上、遺産分割の手続きが終わるまでは相続財産は相続人全員の共有になります。現金や預金のような容易に分割しうる財産は、相続開始とともに法定相続分にしたがって分割されるという判例がありますので、法律上は、亡くなった人の預金であっても、自分の法定相続分の範囲であれば自由に引き下ろしても構わないことになります。

・でも、実際に銀行へ行って預金を引き下ろそうとするとそうは簡単には手続きができません。名義人が亡くなった時点で口座は凍結されてしまい、原則として遺産分割の手続きが済んで新たな持ち主が決まるまでは手をつけられません。

・特例的に引き下ろそうとする場合には、相続人全員から支払請求書等の提出を要求されるのが一般的です。さらに必要書類として、亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本ほか、共同相続人全員の印鑑証明が要求されます。銀行という機関の性格上安全性に配慮し、このような実務上の取り扱いをしているのだと思われます。

・しかし、相続人間で遺産分割などにおいて対立がある場合には、必要書類や署名押印を全員から集めることができず、結局預金を引き出せない場合もよくあります。いわゆる「争続」になってしまいそうな場合には注意が必要です。

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消費税の税務調査が増加


・国税庁が公表した「平成18事務年度における法人税の課税事績」によると、今年の6月までの1年間(平成18事務年度)に実施された消費税(法人)の実地調査が、前年に比べて3.3%増加し13万9千件となっています。

・これは、前年比で20.7%も増えた前年(平成17事務年度)に引き続いての増加ということになります。

・この傾向は、先日公表された消費税(個人)ではさらに顕著で、平成18事務年度の調査等の件数9万6443件は前年比で33.3%増となり、同117.3%増えた平成17事務年度に引き続いての増加になります。

・パーセントでいうと実感がないかもしれませんが、前々年に比べると9万4千件、前年に比べても2万8千件、調査数が増えているのです。

・平成17事務年度に消費税の調査件数が増えているのは、平成15年度税制改正で消費税の免税点や簡易課税の適用上限が引下げられ、消費税課税業者や原則課税事業者が大幅に増えたことが主要因です。また、消費税は担税者(消費者)と納税者(事業者)が異なるため税の滞納がおきやすく、それが社会問題となっていることも一要因になっているようです。

・さらに、消費税の税務調査は赤字企業でも対象になります。特に継続的に赤字であるような企業の場合、法人税や所得税があまり発生しないため、納税に対する意識が低い場合があります。

・しかし、たとえ赤字企業でも、受取った消費税より支払った消費税の方が多いなどというケースは滅多にありません。免税事業者や休眠会社でないかぎり、ほぼ消費税の納税が発生するのです。そして、前述の税制改正で新たに課税事業者になったところには、このような企業が少なくありません。

・消費税の調査は帳簿を中心に行われます。特に法人税や所得税では問題にならない、取引ごとの消費税の課否判定が問題にされることが多いため、日々の取引記録が一層重要になります。

参考URL:平成18事務年度における法人税の課税事績